経済・経営

2010年3月30日 (火)

双曲割引 ~ 近視眼的なのは当たり前

日経ビジネスから出版された「新しい経済の教科書」にビジネスの新潮流として、双曲割引について書かれていました。

行動経済学の基本的な考え方によれば、人は本来的にせっかちで、今、目の前で手に入るものの価値を過大評価してしまう生き物である。今の瞬間が訪れるまではそれほどでもなかったことが、目の前に現れた瞬間、価値が余計に大きく感じられる。
この、「今この瞬間」と「明日以降」との違いを、明日と明後日の違いよりも大きく評価してしまう錯覚を「双曲割引」と呼んでいる。
もう少し説明しよう。ある人が、2009年4月1日に、来年もらえる小遣いのことを考えている。この人が、1年後の4月1日にもらえる900円と、翌4月2日にもらえる1000円のどちらかを選ぶ。この時は4月2日の1000円を選んだ。
さて、2010年4月1日。この人は、1年前は翌日の1000円を選んだのに、この日に900円を選んだ。1年前は翌日の1000円を選んだのに、この日に900円を選んだ。双曲割引のせいで、900円から得られる満足度が、翌日の1000円より大きく見える「錯覚」を起こしたのだ。

今日からダイエットを始めようとしても、目の前にケーキがあると、「やっぱり明日からにしよう」と思ってしまう。締め切りの迫った仕事に、早く取り掛かった方が楽と分かっていても先送りしてしまい、前日にあたふたしてしまう…。そんな自分の心の弱さを嘆く人は多いだろう。それも、このような「双曲割引」な判断が働いているから、というわけである。

双曲割引とは、「人間は、将来の大きな利益よりも、確実に手に入る目先の小さな利益を優先してしまう」という行動経済学の言葉です。そんなに難しく考えなくとも、誰しも心当たりがあるはずです。人間が長期的視点では判断できず、近視眼的なのは当たり前だとしたら、どうしたらいいのでしょう?

目の前の楽しさを犠牲にして、将来に備えるような、固い決意はしばしば挫折しがちだ。これを実現するには、強制力のある仕組みや制度で欲望を縛るしか、方法はないのかもしれない。

「強制力のある仕組みや制度」をどう日常生活に取り入れるかが、問題なんですよねえ。

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2010年3月19日 (金)

サービスのトップ企業はどこなのか?

新聞等で報道されており、ご存知かと思いますが、日本のサービス業界の大手企業が提供するサービスを、「顧客満足度」という観点から順位付けしたランキングが発表されました。経済産業省が中心となって、産官学で組織するサービス産業生産性協議会が調査しただけに、話題を呼んでいます。

Service

トップの東京ディズニーリゾートは、誰もが納得かと思います。しかし、他の上位を見ると、ネット通販や回転すしなど低価格業態が並んでいます。ホテル業界の最上位もシティホテルではなく、5,000円ホテルとして有名なスーパーホテルです。

顧客満足とは何か、考えさせられます。つまり、サービスの絶対水準ではなく、顧客期待に対する相対的なものであることが分かります。したがって、顧客ターゲットを絞り込んで、その顧客層のニーズに対応に特化していることが評価につながっているのではないでしょうか。

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2010年3月 7日 (日)

マック「FREE」で一人勝ち

先月、「マクドナルドのフリービジネス」を投稿しましたが、AERAにも「マック「FREE」で一人勝ち」という記事が載っていました。

「無料コーヒー×高額バーガー=増収増益の法則」というサブタイトルがついている通り、無料コーヒーと期間限定の高額バーガーを結びつけている点、その説明を「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」に求めている点など共通しており、「先見の明があったかな」という気にさせてくれました。

ただ、このビジネスモデルを、AERAではフリービジネスの4類型のうち「フリーミアム」と捉えていますが、「直接的内部相互補助」だと思うのですが、どうなのでしょうか?

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2010年3月 4日 (木)

スタンプラリー

スタンプラリー
大阪市内の7つのアパホテルでスタンプラリーが行われています。3ホテルに宿泊すると、1,000円キャッシュバックされます。5ホテル、7ホテルと増えると、賞品もランクアップします。
今回で2つ目ですが、同一ホテルは1回限りなので、次回出張はホテルを変えなければなりません。結構面倒くさいのですが、ついキャッシュバックにつられてしまいそうです。
ただ、いつも大阪ではアパホテルに泊まっていたので、売上アップにつながっていないはずです。キャンペーンの効果はどのくらいあるのででしょうか?

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2010年2月 5日 (金)

マクドナルドのフリービジネス

マクドナルドのプレミアムローストコーヒー特別御招待券¥0を貰いました。

Mccafe

ベストセラーとなりつつある「フリー~〈無料〉からお金を生みだす新戦略」によるフリービジネスの4類型でいくと「直接的内部相互補助」ということになります。ちなみに、4類型をまとめると以下のようになります。

  1. 直接的内部相互補助 … 消費者の気を「無料」で引き、その他のものを販売
  2. 三者間市場 … コンテンツを「無料」で提供し、広告など第三者からの費用で補う
  3. フリーミアム … 「無料」版サービスと機能追加した「有料」プレミアム版サービスを提供
  4. 非貨幣市場 … 対価を期待しない市場

それにしても、「直接的内部相互補助」というネーミングは仰々しいですねえ。直訳したのでしょうが、もう少し翻訳に工夫はできないものでしょうか?でも、決して目新しい仕組みではなく、昔からある販促手段の一つに過ぎません。値引きやおまけではなく、無料というのがポイントなのかもしれませんが。

一方、“マック「期間限定バーガー」大ヒットの秘密 「楽しい」「分かりやすい」が鍵”というニュースもあります。なんでも、「Big America」キャンペーン第1弾「テキサスバーガー」が、当初の見込みを大幅に上回る販売数を記録したため、「数量限定販売」を実施することになった、そうです。これも、一種の宣伝かな、という気もしないではないですが、やはりヒットを生みだす商品力はさすがです。

結局、単に無料だからといって、人気が出るわけではありません。商品やサービスに魅力があってこその、フリービジネスだと思います。

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2010年1月28日 (木)

今年の倒産を予測する

昨日に続きメルマガのネタです。オックススタンダードからのもので、テーマは「今年の倒産を予測する【2010年】」です。

今年の倒産件数の予想は、

今年は、上場企業の倒産件数は減少する。
非上場企業は横這いか、若干の増加となるだろう。

であり、その根拠は

〔ネガティブ要因〕
 ①デフレ
 ②借金漬けの日本
 ③円高
 ④改正貸金業法の完全施行
 ⑤新興国の隆盛

〔ポジティブ!?要因〕
 ①セーフティネットや中小企業支援
 ②環境技術マーケットの勃興
 ③巨大イベントの開催
 ④マニア(オタク)市場
 ⑤不況慣れ

とのことです。景気が底を打ち、回復傾向の中、上場企業の倒産は減るものの、非上場企業はまだまだ厳しいという予想になっているのだと思います。

確かに、非上場企業の今期決算は先期より更に悪化することが予想されます。ただ、資金繰りも相当に厳しいでしょうが、中小企業金融円滑化法などにより資金繰り破綻リスクは軽減されるのではないでしょうか。というわけで、非上場企業の倒産も減少するのでは、と予想してみました。

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2009年12月29日 (火)

【ブックレビュー】「秘訣は官民一体 ひと皿200円の町おこし」

「宇都宮」といったら、「餃子」というイメージに今では何の違和感もありません。これが、「宇都宮の名前が知られていない」という悩みを抱えた宇都宮市役所の職員研修をきっかけとして、20年にも満たない間に定着したものだとは思いもしませんでした。宇都宮市の職員が総務庁(現総務省)の家計調査データ「餃子消費量日本一」を見つけ、「餃子で宇都宮をPRする」という町おこしをスタートさせたわけです。

しかし、決して順調に進んだわけではなく、そもそもの宇都宮餃子会の立ち上げすら、異論が続出し、賛同者は5名にすぎなかったそうです。その後の、ニセ宇都宮餃子問題、協同組合化、実験店舗の営業譲渡などさまざまな困難に立ち向かった過程が詳細に書かれています。単なる成功物語ではなく、町おこしから離れていった餃子店の存在やテーマパーク「宇都宮餃子共和国」の失敗などについても正直に書かれており、プロジェクトの大変さが伝わってきます。

なぜ、町おこしが成功したかというと、タイトル通り「官民一体」の活動に行き着きます。「餃子のまち」を売りたい官と「宇都宮餃子」を売りたい民が一体になったからこそである。官民一体で取り組むことができた背景には、「日本一の餃子の町」という誇りと「餃子で宇都宮を活性化する」という熱意を当事者が常に持ち続けていたことが大きな要因としてあげられます。

ただ、官民の熱意やモチベーションだけで成し遂げられたわけではなく、硬直しない組織、ルールの遵守、徹底した議論を通じての問題解決プロセスといったプロジェクトマネジメントの観点からも学ぶことの多い一冊です。

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2009年12月27日 (日)

ブックオフのビジネスモデル

前回「ブックオフの買取価格」の続きです。

ブックオフのビジネスモデルとして、一般的にいわれているのは、

  1. 従来の古書店が取り扱わない希少性のない古書の流通マーケットの開拓
  2. 目利きを不要とする買取価格の査定システムの確立
  3. 明るい店舗ブランドの構築とフランチャイズによる全国展開

などであり、確かに本の流通を大きく変えた画期的なビジネスモデルといえます。ただ、今後も発展していくためには課題があり、そのKSF(key success factors 成功要因)は安定した買取にあると思われます。安定した買取には、買取ルートの確保と買取価格の妥当性の2点が必要です。

買取ルートの確保という点では、従来から出店にあたっては、売りやすい立地よりも買取しやすい立地を選んでいます。つまり、新刊書店のような繁華街の立地ではなく、住宅街や学生街といった本を持ち込みやすい立地なので、店舗ごとに本の品揃えに個性が出ています。そういう意味では、いわゆる小売業の一等地への出店の必要がないので、出店余地はまだあるといえます。また、出張買取や宅本便(ネット買取)といった買取ルートの拡大も進んでいます。

一方、買取価格の妥当性という点では、捨てるしかない本なので低価格でも納得する、という状況からは変化してきています。アマゾンやヤフオクといった本の販売ルートが個人でも利用しやすくなり、需給にもとずく市場価格が形成されてきているからです。市場価格とブックオフの「きれいさ」「新しさ」といった基準による査定価格にギャップが生じています。この価格ギャップを利用したせどりといったビジネスが活発になっています。せどりとは、簡単にいえば、「古本を安く仕入れ高く売ること」です。ブックオフの105円コーナーの前で携帯電話でアマゾンの価格を検索したうえで仕入れを行っている人までいるようです。既に、ブックオフオンラインの販売価格はアマゾンより高く設定されているものが少なくありません。店舗とネット販売という自社内でもルートによって二重価格が発生しているわけです。短期的にはともかく、いつまでも二重価格の体系が維持されるとは思えません。

ブックオフは、次の一手が求められることになりそうです。

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ブックオフの買取価格

大掃除で出てきた読み終わった文庫本55冊をブックオフに持っていったところ、買取価格はなんと、1,400円!うーん、安い!!

Bookoff

1冊平均25.5円換算となります。ブックオフは、定価の1割で買取って、当初の販売価格を定価の5割に設定し、売れないとプライスダウンしていく仕組みだと聞いた気がしますが、実際はどうなんでしょう?

ブックオフの2009年3月期決算説明会資料によると、文庫・新書の期末平均在庫単価は26円とのことで、なんと、今回の買取価格とピッタリです。ちなみに、文庫・新書の期中平均販売価格は168円なので、値入率は85%となります。

決算説明会資料を見て、気づいたのですが、売上構成は書籍56.2%に対しソフト類43.8%、在庫構成に至っては、書籍39.9%に対しソフト類60.1%。ブックオフは新古書店ではなくなりつつあるのかもしれません。

次回はブックオフのビジネスモデルについて考えてみたいと思います。

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2009年12月26日 (土)

【ブックレビュー】「トヨタ生産方式」

ダイやモンド・ハーバード・ビジネス・レビューの最新号が「『大野耐一』論 ものづくりの原点」特集でしたので、以前に読んだ「トヨタ生産方式」について書きます。

いわゆるトヨタ本は数あるながら、トヨタ内部のしかもトヨタ生産方式を築きあげた当事者の著書です。平易な文章ですが、一度読んだだけでは理解できないくらい、奥が深い内容です。

トヨタ生産方式は、「徹底したムダの排除」という基本思想と、それを貫く「ジャスト・イン・タイム」「(ニンベンのついた)自働化」という2本の柱で構築されています。「かんばん」は、あくまでも「ジャスト・イン・タイム」実現の手段に過ぎません。同様に「アンドン」は、「自働化」実現の手段です。また、基本思想を追求する方法こそが、5回の「なぜ」を繰り返すことになります。

メーカーに限らず、トヨタ生産方式を取り入れながらも、成果が上がらないという話をよく聞きます。多くの場合、「トヨタ生産方式=かんばんシステム」といった誤解から、表面的な手段の模倣に留まってしまっているのでは?

体系的なトヨタ生産方式の理解のために、読む価値のある1冊です。

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